懸造りとは?
そもそも懸造りとは何なんだろう?笠森観音が日本でここだけの四方懸造りと聞いてもピンときませんでしたが、境内に入って観音堂を見上げると・・・
「この建て方どこかで見たことがあるなあ?」
「あ~清水寺!」みたいな感じです。
崖造ともいう。崖や池などの上に建物を長い柱と貫で固定し,床下を支える建築方法。清水の舞台で知られる清水寺本堂や室生寺金堂にみられる。社寺建築のほかに江戸時代の浜地や堤防上に建てられた町家などにも使われた。
ブリタニカ国際大百科事典より
清水寺や滋賀県の石山寺など有名なお寺以外でも、千葉県館山市の崖観音も懸造りですね。高台にあり眺めがいいのと、見た目が一緒ですからわかりやすいですよね。でも笠森観音は日本でここだけの「四方懸造り」なのです。
それでは四方懸造りとは?
懸造りは崖造りというように、失礼ながら素人目には崖に立てかけるような工法に思えますが、四方懸造りとは四方つまり全面を懸造りで作ったものということですね。
笠森観音にご参拝すると一目瞭然なのですが、笠森観音は大きな岩の周囲に長い柱と貫を回して、その上にお堂が建っています。またお堂に上ってみると、岩の上というよりも山の上の建っていることがわかります。でもなぜ四方懸造りでお堂を高いところに立てなければならなかったのでしょう。
実は福島県いわき市の筒木原不動尊と岩手県一関市の観福寺も四方懸造りであるといわれていて、笠森観音の日本唯一というのは疑問符がついています。
懸造りは観音信仰
「補陀落山に観音菩薩が住まう」と華厳経典にあり、日本でも山岳地帯を中心に観音信仰が広まり、各地で岩山を浄土とみて、その上にお堂が建てられたそうです。岩や山を浄土とみると、少しでも高いところに、浄土に少しでも近いところにお堂を建てようとしたのでしょうね。その究極の形が岩の上に四方懸造りをした笠森観音なんですね。
十一面観世音菩薩をご本尊とする笠森観音は房総の観音信仰の中心だったのですね。
ここも見ておいてくださいね
無料駐車場から階段の観音山の森を上っていくと、参道の途中で三本杉があります。これの三本の杉が根っこでつながっているというとても珍しい三つ子の杉なんです。
さらに参道を進むと、木の根元がトンネルになっている霊木子授楠があり、このトンネルはくぐれるようになっていて、子授けの御利益をいただけるとのことです。
二天門が見えたら、境内はもう少し。二天門の風神雷神もしっかり見ておきましょう。ここをくぐると四方懸造りの観音堂が目の前に現れます。
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